高田日本画会シンポジュームについて

報告者:高田日本画会研修部 松﨑玉惠

(本シンポジュームは高田日本画会の研修部の活動として開催されました。研修部ではNPO法人墨アートプロジェクトの協力のもとに、1月29日日曜日大和高田市公民館で墨アート研修が開催されました。その際に参加者が作成した墨アート作品も展示されました。

初期墨絵からはじまり、墨アートなどの新しい墨表現の展示を公開する事を通して、「いまなぜ 墨絵・水墨画なのかを、皆で考えていきたいと思います。)

日時 :2023.4.22(土)pm2:00~4:00

場所 :さざんかほーる2階 展示会場

テーマ:「墨による表現の魅力を語る」

出席作家:表啓充 萩谷和 松﨑玉惠

シンポジューム報告

展示会場に設置されたシンポジュームコーナーには多くの参観者が出席されました。研修部【清水一意(会長)相澤哲也(司会)今堀裕弘 松﨑玉惠】企画・推進で開催されました。多くの墨の参考作品も以下の分類で展示されました。

  • いまなぜ 墨絵・水墨画なのか②初期墨絵③水墨画の始まり④明治以降の水墨画⑤新しい墨による表現(墨絵・墨アートなど)

出席作家の墨表現に関する考えを、抜粋して以下にまとめ、報告といたします。

Q墨(墨絵)の魅力は何でしょう

(萩谷)主に生紙(ドーサなし)を使うため、墨と水との割合で、多様な濃淡の変化が可能となります。筆の使いかたと力の強弱で太細や、にじみ、かすれ、乾湿の表現が自在です。油煙墨や松煙墨など、使い分けが出来ます。顔彩で彩色を加える墨彩画もあります。

(表)硯ですった墨のにおいが私の心を落ち着けます。墨に水を含ませ、濃淡をつけ、一瞬で描きたい作品を制作します。最終的に仏画の世界に趣味があり、現在進行形です。未熟ではありますが、描き続けていこうと考えています。

(松﨑)墨に5彩ありといわれます。濃墨と淡墨のハーモニーが紡ぎ出す美しさは、いくら追いかけても、届かない奥深さがあります。一例をあげます。江戸時代の絵師 伊藤若冲の「筋目がき」は、滲む紙の上に作用した膠の墨マジックと言えるでしょう。

Q墨による表現の未来について、どのようにお考えですか

(萩谷)これまでの古い技法(写実的な)にこだわらず、新しい感性と発想で、モダンな技法と表現を生み出す努力が必要になるでしょう。制作者の個性が重要視される時代になり、これからの若い力(若い人に限らず)の活躍に期待したいです。

(表)墨を巧みに操った抽象画もこれから、多くの人たちが挑戦されていかれると思います。日本の伝統的な墨の世界を、多くの人たち(外国人)に広めていくことが大切であり、今後の課題であると考えます。

(松﨑)2025年、関西万博が開催されます。世界の人々が関西に集まります。日本伝統の墨表現をベースにしつつ、若者や海外の人々の心に迫る表現を模索中です。関西万博の機会をとらえて、日本の墨の面白さや不思議さの推進の為、墨の町奈良の人々の協力や支援を希望します。

墨アート123(会場の展示作品の一部)
#